「貴方はあの人でなければ駄目なのですか」

「…は?」

「…私では、駄目なのですか」

「な、何言ってんだジェイド。意味わかんね…」

「私には貴方が必要です。貴方が居ない世界なんて考えられない、そんなの必要無い。…私は、貴方を…」

唐突すぎて理解出来ず、するすると耳を抜けていったその言葉に動揺したルークが床へ視線を落とすと同時にぎゅっと強く抱きしめられた。
その腕の持ち主は多分ジェイドで、こういう場合どうすればいいのだろうとまだ上手く働かない頭でぼんやりと考えていたら、 ゆっくりと噛み締めるように、またジェイドが「ルーク」と、震える声で囁いた。








「 一 番 大 切 な 人 に 、 出 来 れ ば 恋 人 に 。 」












耳朶を掠めたジェイドの声がいつもよりもずっと頼りなくて、それがどうしてなのかはよく分からなかったが、 下ろしていた両腕を恐る恐るジェイドの背中に回すと、余計に強く、苦しくなる程抱きしめられた。

「ジェイ、ド…ッ?」

固まった様に身動ぎすらしないジェイドが心配になって、恐る恐る名前を呼んでみる。 僅かに力の緩んだ腕に小さな溜息を吐いて、ルークがそろそろと視線を上げた。 一体ジェイドはどんな表情であんな事を言ったのだろうかと、無性に気になったからだ。
そうするとジェイドも此方を見下ろしていて、意外にも涼しげな表情だった事に拍子抜けしつつも安堵したルークだったが、 ゆっくりと瞬きする紅い彼の瞳に見惚れているうちに、その目に映る自分が心なしか大きくなって、それからすぐ温かい何かが、そっと、自分の唇に触れた様な気がした。

「っ…!ジェ、イ…ッ」

それがキスだということに気づくまで、暫く時間がかかった。痛いくらいに肩を掴まれ、緩んだ唇の隙間を見つけると強引に舌をねじ込んでくる。 ジェイドのキスは、いつもの優雅さとは全く違う荒々しい口付けだった。
彼も男なんだという事がよく分かる。人目を惹く程綺麗な容姿をしていたとしても、ジェイドにだってそれなりの力はあるのだ。

それに驚き戸惑い、強引なキスにどうすればいいのか分からなくなった。

「ジェイ、ド…、やめ…っ」

苦しくなって緩んだ唇の隙間から、ジェイドの舌が無遠慮に差し込まれる。
混乱したルークが四肢を突っ張り、嫌だとゆるゆる首を振りながら訴えた。

「…放したくなんかありませんよ。…どうして私では駄目なのですか?
確かに、私が貴方と過ごした時間よりも、貴方はずっと多くの時をあの人と過ごしている。だからって、そう簡単に諦められるものじゃない。 私には貴方が必要なのです。貴方でなければ意味が無い。…貴方さえ居てくれるなら私は…ッ…!!」

抵抗するために、お互いの身体の境界線を超えないようにと突っ張った腕を痛い程掴まれ、半ば懇願するように、そういってジェイドはまた力任せに口付ける。
嫌だ、と吐いたつもりが、息も絶え絶えに掠れた声で「ジェイド」と言っただけだった。



言い訳(後書き)
目指すはジェイド→ルークです。ただジェイドちょっと気持ち悪い…。
でもキモイジェイドって大好きです(あれ)