知り合ったんは高校入ってからやったけど、年数なんて関係無い。俺は葉月と居る時が一番好きやったし、葉月もそうやと思ってた。
男同士で可笑しいかもしんけど、俺は多分、ずっと前から葉月が好きで。葉月も俺の気持ち分かってくれてると思ってた。

俺がアイツのクラスに遊びに行った時、窓際の眠くなりそうな席に座った葉月がしっかり俺の事見てたのとか、バレンタインに屋上で いかにも本命ですってチョコを貰った事を報告した時の複雑そうな表情も、気づかんフリしてただけで、ホンマは全部、気づいてた。



葉月は俺の事が好きなんやって、ずっと、そう思ってた。自惚れてた。








「 あ な た じ ゃ な き ゃ 駄 目 な ん で す 。 」












「彼女、出来た」

いつもの素っ気無い口調で葉月が言うた。

彼女?彼女って、彼女?

がん、と頭を殴られたような衝撃。思わず動揺が顔に出そうになって、慌てた俺は誤魔化す様に髪をかき上げる。
そこで気づいた。いつもやったら俺が居るはずの葉月の隣には、ちっこくて可愛い女の子が居って。甘えるように葉月の腕に自分の腕を絡ませてた。
それがあんまりにも似合ってるもんやから、葉月が声を掛けてきた時すぐに気づくことが出来んかったんや。
学校の廊下で堂々と腕を組む、トップモデルの葉月の彼女。
葉月に似合うくらいにはやっぱり可愛くて、もうずっと前から葉月の隣に居るのは自分やって、当然って顔してた。

「良かったやん。かわええ子やな」

ちゃうやろ俺。先にオメデトウやん、自分もとうとう遅い青春の一ページを刻み始めたんやなって、軽口叩く所やろ。
友達の初めての彼女を喜ぶシーンやのに、俺はといえばもうすっかり動揺して、上手く笑うことすら出来んようになってる。


嘘やろ。葉月、お前俺の事好きやったんやろ?


俺がお前の事誰よりも好きやって、知らんかったん?


俺が一番お前と居る時が好きやって、知ってたやろ?



だってキスしたやん。
誰も居らん教室で、二人して補習になってもうた時。
和馬はバスケ行くって脱走した後、俺も葉月に問題集解くの任せてうとうとしてたら、自分、俺が寝てると思ったんやろ?俺の肩を揺さぶった後、触れるだけのキスしたやん。 俺は驚いて、でも嬉しくて。思わず寝たフリ続けたけど、あの時起きてたら、自分はどうしたん?なんて言い訳したん?


「珪」

「…?どうした」


初めて名前を呼ぶ時は、セックスの最中やって決めてた。
葉月を抱いても、俺が抱かれてもいい。兎に角二人身体を重ねた時、名前を呼ぼうと思ってた。
痛みに涙を滲ませて。俺が囁く様に「珪」って名前を呼んだら、葉月はきっと、もっと俺を好きになる。

そうやって俺無しで居れんなったらいい。
それやのに、何で今更俺の側から離れようとするんや。
そんな事俺が許すはずないやろ。キスまでしといて、今更この関係を止めようなんてムシが良すぎるやん?



それから、俺は夢中で葉月を葉月の彼女から取り返して、学校のローカでキスした。



悲鳴を上げる彼女に、少しだけ得意になる。
いや、彼女なんかやない。葉月の隣に居るべきなのは俺であって、決してこの女なんかやない。

コイツの隣は俺だけのもんや。

誰にも渡したりせんから。



言い訳(後書き)
姫条がただの妄想野郎になってしまいました…。
痛みのお題だけにマジで違う意味の痛い系になったのはうーん…でもまぁいいんじゃないでしょうか(笑)
こういう姫条は好きですし、っていうか狂ってるキャラ基本好きなんですよね。
ほのぼのよりもずっと好きです。だから最近サイトの傾向として片想いが凄く多いんですよ。今回は片想いってわけじゃないんですけどね。勿論王子も姫条の事が好きだったんですから。