「たまには素直に。」












「虎牙破斬!!」

大きく剣を振り上げ、飛び上がる。次にスタンが地面に足をついた時、敵はばっさりと半分になっていた。
この辺りの敵はあまり強く無い。だからといって油断も出来ないが。
そろそろ休憩した方がいいだろうか?メンバーの中で一番体力のあるスタンに合わせていると、ルーティーやフィリアに無理をさせてしまう。

「ん〜、ちょっと休憩しないか?さっきから俺脚がパンパンなんだ」

振り返り、頭を掻きながら舌を出す。
無論それがスタンの優しさだという事は分かっているので「それなら休憩しましょ」というルーティーの声に反論する者は誰一人として居なかった。
それぞれ適当な場所に腰掛けて一息つく。昼も近いという事で、スタンの提案により昼食をとる事になった。

「今日誰が当番する?」

「ん〜…皆疲れちゃってるからねー…」

「全く、だらしがないな。仕方無い、僕がやってやる」

「あらぁ、お坊ちゃまでも料理は作れるのね?」

「…そう言っていられるのも今のうちだ」

だらしなく座り込んだままの皆に、座らず近くの木に凭れ掛かっていたリオンが仕方なくといった表情で立候補する。
それに大袈裟な程驚いてみせたルーティーに、リオンはツンと顔を背けて料理に取り掛かった。そうしたルーティーとリオンの言い合いはすでに日常茶飯事となっているため、誰も口を挟もうとしない。

「え、リオンが作るのか?なら俺も手伝うよ」

「…お前が休憩したいって言い始めたんだろ?僕は一人で大丈夫だ」

「いいじゃん、そんなこと気にすんなよ、ほら、二人でやった方が早いしさ」

フードサックを手に手伝う手伝わないでもめる二人に、他のメンバーが苦笑する。
スタンはリオンも疲れているだろうから手伝いたくて、リオンはスタンだって疲れているだろうから、この間にちゃんと身体を休めて欲しいと思っているのだろう。

まるで夫婦喧嘩じゃん、とルーティーが冗談半分に呟けば、しっかりとその言葉を耳で拾ったらしい、リオンが途端に顔を赤くして「馬鹿なことを言うな!」と声を荒げた。
その赤い顔に気づいたスタンが、訳も分からずリオンの頬に触れて「顔赤いよ?」と首を傾げる。

「貴様!僕に気安く触れるな!!!!!」

勢い良く叩かれた手を気にする事もなく、まるで子供を宥めるように繰り返し謝るスタンと、 それに段々とほだされ最終的には許してしまうリオンとを見ながら、やっぱり夫婦じゃない、とルーティーが笑いを噛み殺しながら呟いた。