馬鹿みたいにアンタはあの人しか見てなくて
たまにはちゃんとこっちも見たらどうなんだ。
「強引にkiss.」
「―ギロロ先輩…」
「…あ、ああ…気づいてたのか」
当り前だろ、そんなずっと後ろに居られたら流石に気づくに決まってるじゃないか。
そう思いつつ回転式の椅子をクルリと反転させてギロロを見れば、いつもの赤い顔がある。
「何か用か?」
眼鏡をかちゃりと掛けなおして問いかけても、ギロロはぼんやりとした表情のままああ、とかうんとか曖昧な返事を返すだけで、 結局痺れを切らしたクルルが椅子を下りてきちんとギロロの目の前まで行くまでその生返事は続いた。
先輩、と強く名前を呼んで肩を叩き、ようやっと我に帰ったギロロがハッとしたような表情で自分を見返してくる。
「寝不足か?気をつけなよ。クックック…」
いつもは目つきの悪い目でギロリと睨んだりだとか、常に持ち歩いているお気に入りの銃の銃口をギラつかせたりだとか、 少なくともそんな事があってもいいはずなのに、今日のギロロは素直に「…ああ」と言っただけだった。
ハッキリ言ってそっちの方が恐ろしい。
妙な悪寒に襲われたクルルは、小さく身震いしてギロロを見る。
やはりギロロといえばぼんやりとした表情のままで。
…何か考え事をしている風にも見えるが、まぁもし何か考えているとするならばきっと恐らく夏美の事に違いない。
まったく、こんなトコまで来てまた夏美か、と内心ため息を吐いた。
この赤ガエルの頭は、35%が夏美であとの65%は地球侵略と武器の事で占められてられているのだ。
何となくそれが面白くなかったから、ギロロがボケている隙にぐいっと引き寄せてキスをしてみた。
唇と唇がしっかりと重なり合う。近距離すぎてぼやけたギロロの表情が、ビシリと固まるのが分かったから、クルルとしてはそれだけでも満足だった。
「クーックック…ご馳走さん」
「な…な…!!」
絶句、と云うに相応しいほどの動揺を見せてくれたギロロの、元々赤い顔がこれ以上は無理だと思うくらいにまで赤くなる。
いつになくしおらしいギロロの姿になんだ、可愛い所あるじゃねーか、とくつくつ笑いを洩らせば。
「ちょっと…先輩…顔がマジだぜ…」
「歯ァ食いしばれ!!」
ギロロの弾丸は面白いくらいに検討違いの所へ飛んで行く。
それはギロロの動揺がどれほど強いのか明確に表していて、やっぱり先輩は可愛いと忍び笑いを零した。
言い訳(後書き)
クルギロ書いちゃったよ…!!
クルたんがたまらなく好きです。「クル?」とか言いつつ小首を傾げたらそれはもう萌えとしか言いようがない。