「後悔なんてしていません(2/裏) 」
これは表の「後悔なんてしていません。」の続編となっております。
2だけでも話しの内容は分かると思いますが、1の方を読んでいない方は是非其方も。
「ん、ハァ…」
気の抜けたようなため息を吐いたディストは、ゆっくりと目を閉じたまま何も言わなくなった。
寝ているのか。勿論寝ていた方が静かでいいが。
ここに置いていってしまおうか、という考えが頭をもたげるが、流石にこの寒さではディストも凍死してしまうだろう。
むしろそれでいいかもしれないとか思いつつ、結局自分しか居ないのに、なんだかんだ言い訳を繰り返し宿屋まで連れ帰ってしまった。
ジェイドォ…待ってよぉ…。
むにゃむにゃ。
寝言は幼い頃からの癖だった。…まだ直っていないらしい。
相変わらず締まりのないゆるんだ表情で寝るディストにため息を零し、自分の部屋の一つしかないベッドに寝かしてやる。
別にそのまま部屋の隅に放っておいても良かったのだけれど、今日は何となく優しくしてやりたい気分だったから。
極端に露出が少ない服を脱ぎ捨て、そのまま備え付けの風呂に入る事にした。
先ほどの一悶着で、すっかりジェイドの身体は冷えてしまっていたらしい、温かい湯がじんわりと沁みる。
やっと落ち着いた、とため息を吐けば、部屋でバタン、と大きな物音がした。
やれやれ、まだ身体も洗っていないのにと思いつつ、そのままの姿で一度風呂から出れば、ベッドから落ちて酷く混乱しているディストの姿があった。
ジェイドの姿を身、安心したような顔に戻るが、またすぐに顔を赤らめてバタバタと意味も無く混乱している。
それもそのはずだ。ジェイドは下半身に薄いタオルを一枚つけただけの格好だったのだから。
「ジェ、ジェイド!!私はどうしてこんな所に…!?」
「やれやれ。覚えていないのですか?貴方が酔って吐いた後に意識を失ったのではありませんか」
「あ、ああ…」
ようやっと思い出したらしい。納得したような声を漏らして何度か頷いたディストだが、いや、それよりも気になってる事があるんですが、と控えめに申し出た。
「何ですか?」
「貴方の格好…」
「見て分かりませんか。風呂に入ってたんです」
ジェイドがいつものようににこやかな笑みでもって答えると、「そ、そうなんですか」としか言えずにディストが微妙に引きつった笑いで返事を返した。
ちなみにここは私の部屋ですけどね、と付け足せば、何故か再び顔を赤らめて俯く。
「折角だから一緒に入りましょうか」
「え、い、いや!!え、遠慮しておきます!!//」
顔を真っ赤にしたままディストが逃げるように立ち上がり、一言一言言う度に後ろに下がりながら手をぶんぶん横に振った。
「どうしてですか」
薄笑いを浮かべ、さっとディストに追いついてその腰を引き寄せ、耳元で囁く。
「私の事が嫌いですか?」
「ッア…も…ジェイド…ッ」
いつもより低い声を意識すれば、ビク、と震えたディストが耳まで赤くなって俯いた。
嫌いなわけ、ないでしょう…蚊の鳴く様な声とは、まさにこういう声だろう。
小さく、小さく呟いたディストに、ジェイドはにっこりと笑って額に口付けてやった。
ちゅ。
軽く音をさせて離れていったジェイドの唇を呆然と見つめる。
今、何を…!?
そう思うと益々混乱してしまって、この体勢が恥ずかしすぎて、またばたばたと混乱するハメになった。
大体ジェイドもジェイドだ。
こんなタオル一枚の格好で目の前に現れるなんて。
ふらふらとまた倒れそうになる自分を叱咤し、ぐっとその場に踏みとどまる。
「さぁ、入りましょうか」
「え…い、いえ…あの…」
「何か問題が?」
「………」
結局そのま上手い言い訳を出来ずに、ずるずると風呂に入る事になったディストだった。
「少し熱いですかね」
「そんな事ないです、…丁度です//」
元々肩幅が狭いのに、今はこれでもかと言わんばかりに小さくなってボソボソと喋るものだから、何を言っているのかちっとも分からない。
しかし、ジェイドに後ろから包み込むように抱かれ、肌を密着させているのだから、そうなっても仕方が無いと言えば仕方が無いのだが。
「ジェイ…ぎゃあっ!!何するんですか!!」
「いいえ、別に。成長したか確認しようと」
クスクスと笑いながらさわさわと下肢をなで上げるジェイドに、ディストも流石に抵抗を始める。
しかしそこはやっぱりジェイドが上手で、ディストの手を難なく乗り越えて大切な部分をきゅっと握りしめた。
「あ、だ、駄目!!」
あまり人に触れられる事のない場所だ。
特にディストはそういった経験が少なかったために、大パニックでバタバタと浴槽の中で暴れるが、ジェイドは涼しい顔でディストの抵抗を封じ込める。
所詮部屋に閉じこもりっぱなしの研究者と軍人では、体力の違いは火を見るよりも明らかだった。
「おや。…どうしてここがこんなに?」
「え、あ、ああっ//」
触れられただけで反応してしまうとは、全く、なんて身体なのだ。
自分を激しく罵っても、一向にそれは萎える兆しすら見せない。
首筋にチュッチュッと音をたててキスされながら、緩く反応したペニスを片手で包み込むようにしてゆっくりと扱かれる。
「お酒を飲むと勃たなくなると言いますが…あれは迷信ですかねぇ」
私自身試した事が無かったんですけど、と笑って耳たぶを噛まれれば、ゾクゾクと何かが背中を走り抜け、羞恥から頬を染めたディストがふるりと身体を震わせた。
「んぁ//…だ、駄目、ですよ…///」
「どうしてですか。…出しても構わないのに」
「そ、んな…っジェイドォ…っ」
度重なる仕事の為(と言っても大半は無理難題を押しつけてくるジェイドのせいなのだが)
兎に角最近下半身のお世話をしていなかったから、些細な刺激にすら感じてしまう。
このままでは本当にジェイドの手に射精しかねないと焦り嫌々と首を横に振るが、彼の身体は本人を綺麗さっぱり裏切り勝手にもりあがってくれていた。
事実、ジェイドに触れられるのは嫌ではない。正直な所嬉しいと云えば嬉しかったのだ。
お湯とペニスからの先走りで段々と動く手が早まっていく。
「ァ、ハァ…っン…」
後ろから抱きつくようにしてジェイドの腕に捕まっているから、振り向いてしがみ付くことも出来ない。
それでもジェイドの首に腕を絡め、助けて、助けてとうわ言のように呟いた。
ジェイドの触っている所が熱くて堪らない。
「ぁ、ぁあああ、あ…ひぁ…っ」
強引に顎をジェイドの方へ向かされて噛み付くようなキスをされる。
口内に舌が入って来た途端、先端に爪をたてられ、その痛いくらいの刺激にくぐもった声を上げながら達した。
「…すごく可愛いですよ、サフィール」
「っひ…//」
耳が弱いのを知っているくせにわざと耳元でそんな事を言わなくたっていいじゃないか。
断続的に腰がビクビクと震える。
恥ずかしくて恥ずかしくてどうしようもない。
手で顔を隠すようにしたら、ジェイドが顔を見せなさいなんて言うから余計泣きそうになった。
「ジェイ、ド…」
好きだと言葉に出来ず息を飲む。
普段は見せないような笑みを見せたジェイドが、震える瞼にそっと口付け。
「私もです」
「ん、ジェイ、ド…」
再び瞼が重くなる。
やはり最後に見たのはジェイドが口付けてくる姿だった。
ただ違ったのは、ジェイドの顔が酷く優しかった事だ。