※注意※

「あの頃の君がとても好きだった。」の続編となっております。
短髪ルーク→ジェイド→長髪ルークという関係です。












俺はあんたと抱き合って、キスして

それ以上の事だってしたいんだ、と半ばプロポーズをしているような心境になりながら告げたら

あんたは予想通り澄ました顔で

いつもそんな事ばかり考えているから、ちっとも周りの事に気づかないんですよと

泣きたくなる(むしろ泣いた)くらいグチグチといつまでも説教を続けてくれた








「続・あの頃の彼がとても好きだった。」












「ジェイド、どうしてそんなに怒ってるんだよ」

「…いいえ、別に」

「嘘だ。…怒ってる」

諦め悪くジェイドの機嫌の悪さを指摘していると、ピクリ、とジェイドの眉が動いた。
怒っていません、とまるで物分りの悪い子供に言うかのようにゆっくりハッキリと言ってくれたジェイドに、 益々怒っていると感じたルークは、気まずそうに俯いてもごもごと聞き取り難い言い訳を繰り返してみた。
これは完全に怒っている、どうして怒っているのか理由は分からないが、ジェイドが怒っていることだけは確かだろう。
俺、なんかしたっけ?と控えめな声で問うてみたが、ジェイドは何を今更、と言いたげな表情で溜息を吐いただけだった。




ジェイドは、ルークを好きだと言った。愛しているとも言った。
聞き間違え出ない限り、ジェイドはルークに対してそう言ったのだ。

そのくせ今までとちっとも代わらないジェイドの態度に、ルークはどうすればいいのか分からず戸惑った。
10代後半の思春期真っ盛りな男が、好きな人と居てそれだけで満足なんて事は無いだろう。
ルークだって、ジェイドとキスしたかったし、それ以上の事だってしたかったのだ。

宿屋で折角二人きりになったというのに、早々にベッドに独り潜り込む姿を見ると、戸惑う以上に焦った。
ジェイドは好きだと言ってくれた、愛しているとも言ってくれたのに、それ以上の事をしようとは思っていないのだろうか。

そう考えると居ても経っても居られず、寝ようとしているジェイドを叩き起こして、仰向けに寝ている彼に跨り思っていた事を告げたら、 呆れたような表情で一度溜息を吐き、それからいかにルークの行動が可笑しなものかを淡々とした口調で語ってくれた。

ジェイドに跨ったまま暫く大人しくそれを聞いていたけれど、どうして自分がこんな風にベッドでお説教を食らわなければいけないのか いまいち分からなくて、っていうか恋人同士なのにそんなに可笑しかったのだろうか、いや、むしろジェイドは俺の事を恋人だと思ってくれているのだろうか?
なんて考えているとどうにもいかなくなり、反論しようにもジェイドのように回転の早い頭を持っていないルークは、とりあえずそのままじっとしようとしていたのだが、 何だかやっぱり泣けてきて、多分ジェイドはそれを見て「またそうやって泣く」と呆れたような声で言うに違いないけれど、それでも我慢出来ず パチパチと瞬きしたと同時に、涙がシーツに落ちて染みを作った。

ああ、やっぱり。とジェイドが呟き、再び溜息を吐いた。やっぱり泣いた、とでも言いたいのだろうか。
だって、しょうがないじゃないか。
感情が高ぶると涙が出る癖は未だ治っていないのだ。

「ルーク、泣かないで下さい」

「だ、だって…、俺は…、ジェイド、と…」

何処か諭すようなジェイドの声が悲しくて、頭をゆるゆると振りながらしたいんだ、と子供が駄々を捏ねるように泣きながら告げる姿は どう控えめに見ても情けなくて、けれど、今はそれが精一杯だった。
ルークはジェイドが好きだった。とても、とても好きだった。
だから抱かれたいと思った。それだけの事が許されないのだろうか?

自分が情けなさすぎて、女々しくて、やり場の無い切なさと怒りでジェイドの胸を叩いてみたら、あっと言う間に、本当にあっと言う間に視界がぐるりと回転し、 気が付けばルークはジェイドに押し倒されていた。

「じぇ、ジェイ…ド?」

何が起こったのかわからず、明らかに戸惑ったような声色でジェイドの名前を呼ぶけれど、ジェイドは何も言わずにルークの首筋に何度も口付けた。
むき出しの腹を撫でられ、段々とその手が下へ下りて行く。
先程からジェイドはずっと無言で、もしかしたらやはり怒らせているんじゃないかと不安になりながらもぎゅっと目を瞑った状態でジェイドの首に腕を回すと、 途端にジェイドの動きが止まった。

え、何?

恐る恐る目を開ければ、苦笑のような表情をしたジェイドがそっと唇に触れて。

「ルーク…貴方は…」

「え…?」

やはり違うんですね、と聞こえたような気がした。
何が違うんだ、なぁ、教えてくれよジェイド。
そう言おうと口を開きかけたはずなのに、ジェイドの涙に開きかけた口を噤んでしまった。


ジェイドは俺を好きなんじゃない。

ジェイドは、ずっとずっと、俺なんかよりもずっと好きだった人が居るんだ。


気づくのが遅すぎた。