数分前。

ピオニー陛下の部屋へ呼び出されたディストは、美味しい紅茶を頂いた。

珍しくも自分で入れると言ったピオニーに、それならとディストも甘えたのだ。

しかし、それがあだになろうとは。

その時のディストは、知る由もなかった。







「どうしてこうなるんだ。」












「…ハ、ァ…」

身体が熱い。

心なしか鼓動もいつもより早いし、じんわりと汗も滲んでくる。

おかしい、これほど急に具合が悪くなるなんて。

目を閉じて一度深呼吸してみる。

駄目だ、先ほどよりも段々熱くなってきた。

じりじりと内側から熱い熱い液体が溢れ出しそうな。そんな感じだ。

「どうしたんだ?サフィール」

向かいで同じように紅茶をすすっていたピオニーが、心配そうな声色でサフィールの名前を呼ぶ。

「い、いいえ。何でもありません」

緩く首を振って、そう答えてみたものの、状態は悪くなる一方だった。

見に覚えのある、下半身の甘い痺れがディストの腰に漂い始め、それに気づいたディストは危うく泣きそうになってしまった。

どうして、こんな時に。

かろうじて動く首をなんとか動かせて、上目使いでピオニーを見てみるけれども、ピオニーは相変わらずのん気そうな表情でまだ紅茶をすすっていた。

しかもディストの視線に気づけば、まだ紅茶要るのか?なんて聞いてくる。

ディストはその問いに答えず、前屈みになってテーブルに両腕を任せ、じっと下を向いて黙り込んだ。

「サフィール、どうしたんだよ。ご機嫌ナナメなのか?」

ガタリ、と音をさせて立ち上がったピオニーが、ゆっくりとこちらへやってくる。

来ないで。どうして今来るんですかっ!!

こんな状態を知られたくないと涙目になったが、顔を上げる事が出来ずに結局黙ったまま荒い息を繰り返すことしか出来ずにいると、

自分の横で歩くのをやめたピオニーが片膝をついてしゃがみこんだ。

「うん?サフィール。こっちを向いてごらん?」

まるで子供に言い聞かせるかのようなそのセリフにすら反論出来ず、けれどゆっくりピオニーの方へ顔を向けてみれば、

ピオニーが笑ってディストの頬に口付けた。

そんな些細な事ですらビクつくディストを尻目に、ピオニーの手は頬を撫で、肩を撫で、わき腹を撫で。

太腿を撫でる頃には、内腿が引きつるように痛むほどだった。

可愛いな、サフィールは。

そう言ってズボンの上からも分かるほどに元気になってしまったディスト自身を何度か撫でると、泣きそうな声をあげたディストの身体が

グラリとバランスを失って倒れかかってきた。

「おっと。…大丈夫か?…ホラ、しっかり」

「へい、か…すみませ…」

ハァ、と熱い吐息が耳元を掠れる。

堪らずディストの身体を抱き寄せ、椅子から下ろすとそのまま床へ押し倒して、けれどいつもなら何らかの抵抗を見せるディストが今日はやけに静かだった。

ディストの方はとりあえず今この熱い身体をどうにかして欲しくて、ろくに動かない頭を使ってどうすればこの苦しさから逃れれるのかという事を必死に考えている所で。

「悪いサフィール…こんなに効くとは…。ちょっとした遊びのつもりだったんだが」

「う、あ…?」

焦点の合わない目でピオニーを見あげれば、少し困ったような表情をしたピオニーがすまなさそうに謝って額に口付けた。

「あ、も、いい、です…」

「いい…?」

「だ、から…早く…ッ」

今のディストにしては、そんな過ぎた事を謝られるよりも、この疼きをどうにかしてくれる方がよっぽどありがたかったのだ。

コクコクと頷いて腕をピオニーの首に回し、ぐいっと引き付けて早くとせがむ。

普段はそんな積極的な態度を見せるわけもないディストの痴態に、ピオニーが堪えれるはずもなかった。













「あ、ひ…っ!!」

声を抑えようともせず、感じるがままに声をあげるディストに、ピオニーは随分興奮させられっぱなしだった。

幾度となく射精したペニスを頬張り、奥で息づく後孔からはぐちゃぐちゃと絶え間ない水音が聞こえる。

三本の指をばらばらに動かして内壁を探るようにすれば、悲鳴がかった声が漏れ、口内のディストが一瞬膨れると

また身体をビクビクと震わせて達した。

ゴクリと音をたてて飲み込み、残滓すら残さないようにチュッと吸い付く。

「サフィール、入れていいか…?」

「あ、う…っ」

ピオニーがペニスを銜えたまま喋るから、何か発音する度に歯がペニスにあたってむず痒かった。

それでもなんとか頷いたディストに、ピオニーは満面の笑みでもって早速自分のペニスをディストのそこにあてがい、ゆっくりと挿入した。

「っ…、は…っあ…っ」

「大丈夫か…?サフィール…」

「大丈夫なわけ、な…っ!!」

「そこまで言えるなら大丈夫だ。いくぞ」

「っひ、ぃ…!!鬼ー…っ!!」

鬼で結構。

お構いないしにズンズンと腰の奥を突き上げる。

涎をダラダラと零しながらディストが泣いた。啼いた。

鼻水も涙も涎も、一緒くたに流れ、嫌だと思う反面、もっと酷く犯して欲しいとまで思う。

ピオニーのせいでどこかの回線がブチ切れてしまったらしかった。

前立腺を擦り上げ、思わず逸らした首に噛み付かれた。

ポツリと胸のピオニーの汗が落ちる。彼の顔を仰ぎ見れば、眉を寄せて同じように熱い息を吐きながら必死に腰を押し付けてくる姿が目に映った。

まるで発情した犬のようではないか。いや、自分も今は発情した女のようにだらしなく脚を広げて喘いでいるのだが。



「ッハ…サフィール…何考え込んでんだ?」

「な、何、も」

「ならいい」

ハァ、と再び熱い息を吐き、ピオニーが倒れこむようにして身体を密着させてくる。

汗でベタベタだ。けれど、それが妙に心地いいのは何故だろう。

それ以上ぐだぐだ考え込むのも面倒なので、ディストも目を閉じ、ピオニーの首にしっかりと自分の腕を絡ませた。













後日再びピオニーの自室へと呼ばれたディストは、媚薬お返しに、飲んで最初に見た人の言う事は何でも聞いてしまうという薬を持って行ったが、

裏をかかれ、間抜けな事に自分でそれを飲んでしまったというのは、また別の話である。