「お、俺さまだって…初めてなんだけど…」

恥ずかしそうに目を伏せて、ポソリ、と言った。

黒いタンクトップに忍ばされていた手がピクンと動き、その手の持ち主は驚いたように顔を上げる。

「…ホントに?」

「あ、当り前じゃん、こんなことで嘘つくわけないでしょーよ」

元々男にしては白めの肌が淡いピンク色に染まり、恥ずかしさと照れからゼロスはふい、と視線を逸らした。

「…何嬉しそうな顔してんの」

途端にロイドの表情が輝いたのを見て、面白くなさそうに口を尖らせて。

「ゼロスって同性とも経験がありそうだったからさ」

「何ソレ、偏見じゃん」

緊張感の無い笑いに、ゼロスはロイドの頬を軽くつねった。

「いてぇ」

「当り前でしょ」

俺さまだって男とするのは初めてなんだから。

むしろ、好きな人とセックスするのすら初めてなんだからさ。

好きにしていいよ―。

そういってロイドを見上げると、自分と同じように顔を赤くして、ロイドが声に出さず、唇だけで「バカ」と言った。








「ぜんぶ。」












いつも以上に、ゼロスが可愛い。

今気づいた。ロイドはずっとゼロスとキスしてみたくて、それ以上の事だって。

気づかないようにしてただけ。

本当はずっと、ずっと前からゼロスが好きで、欲情してた。





別にセックス自体は初めてじゃない。

だけど、セックスがこんなにドキドキして、こんなに興奮するものだなんて知らなかった。

男に抱かれたい、なんて思う事事態、夢にも思わなかったけれど。

でも、ロイドならいい。

ロイドになら、何をされたっていい。











「あ、ああ…っ」

感嘆したような声をあげ、ヒクリと脚を震わせる。

見かけどおり器用に動くその手に、翻弄されっぱなしだった。

しつこいほどの愛撫で、声を抑える力すら残っていない。

赤く熟した先端をくりゅんと剥かれ、銜えられて。

「ン…ッ…ん…」

つま先をくっと丸め、体を小刻みに震わせ、ヒクヒクと喉で呼吸しながら。

それを恍惚とした表情で見上げ、ロイドは何かに耐えるように眉をひそめた。

「も、いいから…」

飲み下しきれなかった唾液が口の端を伝う。

「はや…くっ」

ねぇ、と腰をくねらせて、ロイドを誘った。

勿論その誘いに応じないほど、ロイドも大人ではなかったし、何よりもうロイド自身も限界だったから、ウンと軽く頷いて

先ほどから痛いくらいズボンの生地を押し上げているそれを性急な仕草で取り出し、そっとヒクつくゼロスの後孔にあてがう。

「力抜いて」

「あ、ロ、ド…ロイ、ド…ッ」

甘く掠れたロイドの声。

ぐぐ、と指とは比べ物にならないほどの圧力。そこが裂けるように痛んだ。

イタイ。

イタイ、イタイ。

「イタ、ん、も…っ」

「ごめん、ゼロス。ごめんな」

生理的涙がポロポロと零れる。

痛くて痛くて、本当にどうにかなってしまいそうだった。

ゼロスは痛い事が嫌いだ。誰だってそうだろうけれど、戦闘でも何でも、兎に角痛い事は大嫌いだった。だが、不思議とやめて欲しいとは思わなかった。

掻き抱くようにロイドにしがみ付いて、どうにかその痛みをやり過ごそうとする。

ハァハァ、と無理矢理呼吸を落ち着かせようとして肩で息を繰り返す。

汗で頬に髪が張り付いて鬱陶しかったけれど、指1本動かす気になれなかった。

「全部、入った…ッ」

「…ロ、イド…」

「ごめんな、…ごめん」

謝んないで。

俺がして欲しくてしたんだから。

凄く嬉しい。本当に。どうしようもないくらいに。

溢れる涙を親指で拭われ、ゆっくりと唇を重ねた。

「好きだよ、ゼロス」







白濁した意識の中。



腰を押し付けてくるロイドの背中に爪を立てて、必死に堪える自分の姿が酷く滑稽だと思いつつ



それでも、悪い気分じゃなかった。







みっともない格好でも、ロイドは可愛い、可愛いと何度も言った。




それで、良いのかもしれないと思えた。




やっと全部、埋まった気がした。