「可愛い天使-ヒト。」












「…っ…!!」

羽の付け根を撫でると、クラトスは息を詰めて身悶えて。

天使の羽は、きちんと神経が通っているのだろうか?

なんておかしなことを考えながら、クラトスの首筋に顔を埋めた。

「ここ…か?」

「ふ、く…っ」

首筋に軽くキスをしながら、羽の付け根を指でなぞってやった。

返事の代わりに羽がぶぁっと広がり、ビクビクと身体を震わせる。

まるで猫の尻尾みたいだと、思わず笑ってしまった。

「可愛いな…」

思わず小さく洩らしたその声に、クラトスは形の良い眉をあからさまに寄せる。

「悪趣味、だっ」

「…お前は自分の可愛さを自覚していないのか?」

「…愚問、だな」

意地悪気なユアンの表情に、ふぃっとクラトスは横を向いて目を閉じた。

全く、脱げかけのズボンが脚に絡まって鬱陶しい。

しかしそれより、自分に圧し掛かった格好で意味の分からない事を聞くユアンを先にどうにかしたくて、

クラトスはユアンを引き離そうと突っ張っている腕にグッと力を篭めてみる。

天使化しているクラトスが本気で抵抗すれば、ユアンなど簡単に押し退けられるはずなのに、いつも思うだけで実行できない自分が腹立たしい。

「うぁ…っ」

不意に乳首を抓られ、自分の声だとは思えない―思いたくない声が出る。

ユアンはさも嬉しそうに―くくっ、と忍び笑いを洩らす。

益々眉間の皺を深くすると、今度は慰める様にその尖った突起を撫でられた。

「ふ…っ」

ヒクッと喉が震え、口で呼吸をするのも億劫だ。

声を出さない様にと口を覆った手は、邪魔だと退けられて、嗚呼、もう何故こいつはこんな風なんだろうと悔しげにユアンを睨んだ。

するとまた、ユアンは意地悪気に笑う。

そして、下着の中で育っているクラトスを、焦らすように撫であげる。

「んー…っ」

それでも唇を噛んで、なんとか上がる声を堪えようとする姿は、いつもの涼しい、冷たい顔からは想像もつかないほど淫らで。

その、無意識に性感を煽るクラトスが可愛くて、可愛くて。

そんな事、クラトスは知るはずないけど。

「クラトス」

「な、ん…っ」

ギュっと瞑った、目を薄く開け、潤んだ瞳で見上げてくる。

優しく髪を撫でて、唇の形をなぞる様に舌で愛撫したら、くすぐったそうに身を捩った。

「気持ち良さそうだな、クラトス」

「…わざわざ聞くな…」

嬉しそうに言ったら、蒸気した頬を更に赤らめ、そっぽを向く。

上の口は色気の無い事ばかり吐くのは百も承知で。

だけど、それがクラトスらしくて、良かった。



「―ここ、好きだろう?」

「っ…」

うなじにチュ、と軽くキスをして、下着の中に手を入れると硬くなったクラトス自身を握りこむ。

「ぁ…う…」

クラトスは無意識にシーツを掴み、ユアンの手から逃れようとするかの様に身体を捻じった。

うつ伏せた格好でも、ユアンは器用に後ろから手を回し巧みにクラトスのモノを扱きあげるのだから堪らない。

「…っ!!」

クラトスはなんとか恥ずかしさを堪えようとギュッと目を瞑る。

なのに、そのまま下着を引きずり下ろされ、羞恥に身体が震えた。

身体が震えると、それと一緒に羽も震えて、それに気づいたクラトスはまた恥ずかしそうに身体を震わせる。

何度も抱いたのに、いつも初めて犯される様な反応を見せるクラトスが、また可愛い。

「ゆぁ…っ」

そのままゆっくりと尻を撫でていると、焦れた様にクラトスがユアンを呼んだ。

はいはい、とふざけた口調で返事したユアンはクラトスに腰を上げさせると、奥で息づく入り口をぺろ、と舐める。

「っ…!!」

すると、ビクン、と腰が大きく跳ね、握っているクラトスはまた大きくなった。

そのままゆっくりと上下に手を動かし、唾液を奥へと送り込む様に舌を使う。

「は…くっ…」

ふるふると羽が震え、くしゃりとクラトスの手の中でシーツが歪んだ。

人差し指を埋めて浅く出し入れすると、あぁ、と感嘆した声を漏らす。

切なげに眉を寄せるクラトスを見つめ、満足そうに笑った。

こんな風に乱れるクラトスの表情を見たことがあるのは自分だけだと思うと妙に嬉しく思える。

「うんっ…ぁっ」

一気に三本入れたせいだろう、ビクリと反応したクラトスだが、後孔はすんなりとユアンの指を受け入れていた。

「気持ち良さそうだな」

「ぁっ…ん」

言葉で虐められるのが好きなのだろうか?

そうやって言ってやると、クラトスがひどく感じるのを知っていた。

「いや…だ、そこは…っ」

それと、耳がとても弱いのを。

たまに外を二人で歩いている時に耳に息を吹きかけてやると、真っ赤な顔をして叩かれた。

「ゆあん―ゆぁ…」

「どうした?何が欲しいのだ?」

「んっ…ん…」

力無く首を振るクラトスに、ユアンはクラトスの敏感な耳を甘く噛む。

「っぁ…!!」

予想通り、ビクビクと身体を震わせ、荒い息を繰り返して欲しい、と小さな声でねだったクラトスに、満足げな笑みを浮かべ、ユアンはゆっくりと指を後孔から引く抜く。

「お前の欲しいモノを今すぐやろう」

「ゆぁ―」

これからの行為を期待して、ウズウズと身体が疼く。

腰の奥で灯った火が、自分を焼ききってしまうような、熱。

「もう…このまま…っ」

焦らさないでくれ…

泣きそうな声でそう言ったクラトスは、仕方無いな、と笑うユアンに自分からねだる様にしがみ付く。

背中の羽が無くなり、柔らかなシーツにそのまま背中を預けて。





「ん…」

「っく…ゆぁ…」

熱くなった高ぶりを押し付けられ、そして、そのままゆっくりと入ってくる。

「はぁ…ぁ…」

背筋を反らし、自然と胸を突き出す様な格好になり、そんな自分の醜態にカッと頬が赤らむのを感じた。

「息を吐いて…」

「ん、ふ…」

ギュ、とユアンの首にしがみ付いてゆっくり力を抜くと、それに従ってユアンが腰を進めてくる。

ズッと腰を引かれると、次の瞬間、奥深くまで突かれて。

気が遠くなるほどの快感に、生理的な涙を零す。

「クラトス…っ」

「ぁ―ゆぁ…」

段々と激しくなる動きの中で、ただ与えてくれる快感だけを受け止め、クラトスは意識を手放した。









「ん…」

「おはよう、クラトス」

「ああ…」

昨日は無理をさせてしまった様だな、と笑うユアンに、クラトスは少し赤くなって小さく『構わない』と言った。

あれから、結局朝方まで抱き合った二人はそのまま寝てしまい、昼過ぎになってようやく目を覚ましたのだ。

クラトスより先に起きたユアンは、いつものように髪を束ね、服を着ていて、昨日の名残など全く無い。

まだ起きたばかりのクラトスといえば、裸のまま。

ユアンに付けられた淡いキスマークが身体中に散りばめられて、なんとも言えず。

「どうした?辛いか?」

「……そんなことはない」

「それはそれは。今更だろうからな」

今まで何度も抱いてきたのだから―。

そんなニュアンスが含まれているのを感じ取ったクラトスは、ギロ、とユアンを睨み付ける。

「冗談じゃないか」

クスクスを笑うユアンを近くに呼び、思いっきり鼻パンチを食らわせてスッキリしたクラトスは、さっさとベッドから降りて服を着るのだった。







言い訳(後書き)

結構前に書いたユアクラです。

羽は感覚がある、という設定なんですが(笑)